繊維へカラー印刷を行うための定番手法
右の写真が昇華転写印刷の一例です。(下に大きな写真があります)ご覧のとおり繊維質(ポリエステル素材)へのカラー印刷が実現されています。あまり写りはよくありませねが、シルク印刷では表現できない多色・グラデーションプリントをご確認いただけると思います。通常のシルクスクリーン印刷では不可能な図柄が簡単に出力されます。弊社で扱っているネックストラップ及びハンドストラップ、そしてマフラーストラップその他繊維質のキーホルダー等は全てこの手法をとっております。
では、実際にどのような工程で印刷が行われているか箇条書きにてご紹介致します。
- Illustatorにて完全版下の作成
- 専用転写紙への印刷(反転印刷)
- 転写紙及びポリエステルテープをロールヒータープレスへセット
- 数メートルの蛇行及び温度調整印刷
- 修正が必要な場合は、Illustratorファイルまで遡り色の調整
- 問題がなければ、量産プリント
- 上記同様の作業で裏面の印刷
簡単に書けばこれだけなのですが、難しいのが色調整です。実際の繊維へ転写されるまで、転写紙へ印刷された状態では全く色の判断がつかないのです。転写紙での色目を見ると、正直「何ですかこれは?」という感じです。これが不思議にもヒータープレスによって普通の色に変身するのです。つまりは色調整が必要なデータの場合、プレス機の温度も安定し、数メートルプリントした段階まで見てようやく元のIllustratorデータの修正まで戻ることができるのです。非常に手間隙のかかる作業であることをご理解いただけると思います。簡単に出力してみて、ダメだからデータの作り直しというようなオンデマンド出力からは程遠い手法が取られているのです。このため、原則近似色レベルでしかカラーチップ指定はお受けしていません。
ただ、昇華転写印刷のメリットは「製版が不要」ということです。データさえあれば、とりあえず印刷は可能なので、極論を言えば、機械があいていれば、次の日には校正出しができるということです。シルク印刷の場合、製版後デザインの修正は再版が必要になり、日数も、費用もかかってしまいますが、転写の場合は、元データを修正すれば、線を太く・細く、明るく・暗く等の調整ができてしまうのです。
昇華転写印刷がいまいちピント来ない場合は、アイロンプリントを思い出して下さい。紙に印刷したイラストをアイロンで布の袋やハンカチ等に移しとったことはありますでしょうか?正にこのやり方なのです。
最後に弊社昇華転写印刷は転写時に200度近い熱を加え、ポリエステル繊維にインキを入れ込んでいるので、通常の使用範囲内においては色落ちはほぼないと考えています。検査協会による洗濯堅牢度試験で5等級を取得しております。
最近ご注文をいただいた昇華転写印刷ネックストラップの部分写真です。品質はいかがでしょうか?生産自体は位置ズレが目立ちたいへんなのですが、弊社では端に線が入ったネックストラップが非常に人気です。
写真では判断できない部分もあるかとは思いますが、ご検討の際は現物のサンプルをお送りすることも可能ですので、お問い合わせフォームからご連絡下さい。