UV硬化型インクジェット印刷機
シリコン樹脂・PP素材を除く殆どに印刷可能なスグレモノがUV印刷機です。ビニールはもちろんのこと、アクリル樹脂、ポリカ、ABS等のプラスチック、そして金属、木材、皮革、ガラスにまで印刷可能です。素材(メディア)によりインキの定着度は異なりますが、下処理を行えば、耐摩擦性においても優れた定着度があります。
弊社商品の中ではアクリルキーホルダー、リールキーホルダー、ビニール製、PUレザー等々でUV硬化印刷機が大活躍しています。
1.UV印刷機
ロールプリンターとは異なりフラットテーブルとなりますので、硬質の物や厚みがあるものに出力が可能です。10cm程度の厚みの物でも十分対応可能です。フラットテーブルの上にメディアを置き、高さを合わせ、上部のヘッドが左右に高速移動しながら少しずつ印刷が進んでいきます。
UVカラーインクジェット出力機 | UV印刷されたアクリル・プラスチック |
UV印刷されたABS樹脂 | UV印刷されたPVC(ビニール)ケース |
UVカラーインクジェット出力機(ローランド機) |
2.UV用インキと解像度
UV用インキは樹脂系で印刷すると同時に紫外線(UV光線)を当てることで、硬化する特性をもったものです。通常の紙用インクジェットや溶剤系インクジェットと比較すると明らかにインキの厚みがあります。UV硬化するので特に乾燥処理の必要もなく本機のみで作業が完結します。印刷の品質は樹脂インキ独特の風合いがあり、印刷物、デザイン、色目等により異なりますが、多少の粗目感があります。
発色は非常によく、鮮やかな色調表現が可能です。またUV印刷機の特長として隠蔽性の高い白インキを持っており、透明素材でも白印刷と同時にカラー印刷を行うことが可能です。このため白打ちとデザインの見当ズレを防ぐことが可能です。白インキの濃度は2本のインキを使い最大200%まで設定可能です。CMYK+WWと言う風な出力が可能になっています。
UV印刷機の弱点はUVで硬化させるため、黒の濃度を上げることができません。黒色は紫外線を吸収してしまうため、硬化が遅くなってしまうためです。
最大解像度は1,800X1,800となっておりますが、パスという概念がこの印刷機にはあります。4パス、8パス、12パス等の出力がです。パスが多くなればなるほど、基本的にはきれいに印刷が行えますが、反対に速度が落ちてしまいます。
3.RIP(Raster Image Processor)
印刷工程としては通常Illustrator上でデータ作成し、それをインクジェット機に直接つながったパソコンに送ります。直接Illustratorから出力するのではなく、一旦RIPソフトに入れ込み、印刷の細かな設定を行うことになります。白印刷有りの場合は、デザインとは別に白印刷用のファイルをRIPに送り、デザインと合成して同時印刷を行います。その他、先ほどのパスの設定や細かなCMYK色調整、白打ちとデザインとのオフセット位置関係や反転・回転等々様々な設定が可能です。
4.溶剤系インクジェット機とUV硬化型インクジェット機の比較
時々どちらで出力するのか?と尋ねられますが、弊社ではもう単純に商品によってこちら!のように決まった状態となっております。あとは特徴を表にします。
UV硬化型インクジェット機 | 溶剤系インクジェット機 | |
発色 | 問題なし | 鮮やかなオレンジ・ピンク等蛍光系の色がくすむ |
黒 | 黒インキはUV硬化しにくいので 濃度に限界がある |
問題なし ※但し濃くし過ぎるとインキが浮いてしまう |
対応メディア | PP、シリコン以外殆どOK ※但し定着が弱い場合、前処理が必要 |
塩ビ、PET等 |
対応厚み | 10cm程度 | 1mm程度 |
メディア送り | 平版なので一度終わると置き換え | ロール反で放置印刷可 |
インキの定着 | 素材によって様々ですが、 ポリカ、PVC等は難なく定着する |
専用メディア以外では多少耐摩擦性が落ちる |
UV印刷機はここ数年急速に普及しており、オンデマンド印刷機としてDIYショップや街角出力センターのような所でも見かけることがあります。安価になったとは言えまだ安価なものでも200万円以上、通常400〜500万程度でしょうか。
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