インクジェットカラー印刷に関して

概要

溶剤系インクジェットプリンター

インクジェットと言っても様々な種類がありますが、紙への印刷を主に行う家庭用インクジェットプリンターと同じ仕組の印刷です。ただ、紙以外の素材へインクを定着させるため、インキや乾燥(硬化)方法が特殊なものになります。

インクジェットの種類

今では本当にいろいろな種類のインクジェットプリンターがありますが、弊社で行っている方法は次の3つのタイプです。

1.水性顔料系特殊インクによるPPフィルムへの印刷

フィルムINキーホルダーの印刷に使用されているもので、不透明PPフィルムに印刷を行っています。フィルムINの場合、印刷したシートをカッティングプロッターにより形状カットしひとつの商品につき2枚のPPフィルムを挟み込んでいます。家庭用の印刷機と違い横幅1m以上ある印刷機で作業しています。乾燥は印刷と同時にほぼ自然乾燥します。

 

2.溶剤系(ソルベント)インキによるPVCシートへの印刷UVインクジェット

ビニール製キーホルダーで使用されています。メディアがPVC素材なので、通常の水性インキでは全くインキは定着しません。わかりやすく言うと油性のインキというイメージでしょうか。油性マジックペンと同様にインキには臭いがあります。こちらの印刷機も上記同様に横幅が1mm以上ある大判インクジェットプリンターとなります。自然乾燥では少々時間がかかるので、ヒーターによる乾燥が行われています。

 

3.UV硬化インキを使用したインクジェット

印刷と同時にUV照射が行われ、特殊インクが硬化することで対象物に定着します。最も対象物を選ばない印刷方法で、PET、アクリル、ナイロン、アルミ、ガラス、木、石等々様々なものに印刷が可能です。1.2.はロール送りプリンタですが、UV印刷機はフラットヘッドで対象物をテーブルに置いて印刷を施していきます。乾燥はUV照射で瞬時に行われます。ここ数年急速に普及し始めている印刷方法です。弊社ではアクリルキーホルダーのカラー印刷タイプで採用されています。

もうひとつの利点が白インキやクリアインキを持っているものも多く、透明素材、有色素材への印刷を可能にすると同時に、クリアインキの重ね塗りによる特殊効果を得ることができます。特に3Dプリンターと言われることもあります。

ちなみにiPhoneカバーのオリジナルプリントでよく使われているのがこちらのタイプの印刷機です。iPadの裏面に直接印刷を行ったりすることもできるようですが、弊社では残念ながらカバー印刷同様製作を行っておりません。

メリット・デメリット発色等

UVインクジェットデスクトップ

メリットは何と言ってもシルク印刷等と異なり、製版作業が不要ということで、小ロット短納期対応が可能です。ロール印刷の場合は、大量生産時のコストも落としやすく、文句なしです。UVは平板のため、大量生産するには少々手間暇がかかり、ボリュームメリットは薄いです。色目はインキにより様々ですが、溶剤系ソルベントインキは多少くすみ傾向があり、鮮やかなオレンジやピンクは残念ながら表現するのが難しい状態です。また、インクジェットはどちらもCMYK出力となるため、DICやPantone指定による特色対応は非常に難しいものになります。どうしても出せない色の範囲がかなりあります。その点、シルク印刷はインキを選び巧みに混ぜあわせれば殆どの色目を作ることが可能です。また、インクジェットはUVを除き、インキ厚があまりないので、対象物が有色の場合は、地色の影響を非常に受けます。透明も下地がないため、透けすぎてあまりいいものには仕上がりません。UVは白インキを持っているので、その点非常に便利です。シルクインキはインキの隠蔽性が高くまた、インキ厚もあるので、透明も有色物も対応可能です。

両方の利点を持ち合わせているのが現状はUV硬化プリントだと思いますが、プリンターの中でも最も高価で、小さなワーキングエリアのものでも、300万円程度は必要になります。以前は800万円程度は必要でしたので、これでもかなり手を出しやすくなってはいます。

 


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